口呼吸から鼻呼吸へ ~小児矯正のススメ~
・呼吸の重要性
皆さんは、ご自身が一日に何回呼吸をしているかご存じですか?
人間(大人)は1日に2万回~2万5千回もの呼吸を行っていると言われています。
1日にそれだけの回数を行う呼吸ですから、呼吸を改善することは体調や健康を改善することにつながると言えるでしょう。
成長期の子どもたちの呼吸数はさらに多く、3万回以上とも言われていますから、その重要性は大人の比ではありません。
子どもに正常な呼吸を身につけさせてあげることは、子どもの健康や成長発育に大きなプラスとなります。
このコラムからいくつかの記事で口呼吸の何が良くないのか、なぜ鼻呼吸が子どもにとって良いのか、そういった観点から小児矯正の重要性について説明していきます。
・口呼吸はなぜダメなの?
「呼吸」という漢字にはどちらの文字にも「口へん」がついています。
ですので、多くの方が「呼吸は口でするもの」と考えていらっしゃると思います。
もちろん、犬なんかは体温調節のために舌を出して口で呼吸しますし、人間も激しい運動をした後や、あくびをするような場合は口から呼吸をするほうが空気をより多く取り込めて効率がいいので、口で呼吸をすることが完全な間違いというわけではありません。
しかし、普段の呼吸ということに関して言えば、鼻で呼吸を行うべきであると考えられます。
私個人の意見としては、口はあくまでも胃や腸と同じ消化器で、食事を消化・吸収するための器官であり、呼吸はあくまでも補助的な機能に過ぎないと考えています。
ですので、呼吸は鼻で、食事は口で、としっかり使い分けていくことが重要です。
ここからは、鼻で呼吸を行うべきであるといういくつかの根拠を紹介していきます。
1.鼻のフィルター機能
鼻にあって口にないものの一つが「鼻毛」です。
鼻毛、というとお手入れが面倒だったり鼻がむずがゆくなる原因になったりと、何かと邪魔なイメージがある方もいらっしゃると思います。
しかし、そんな鼻毛ですが、空気中のホコリやバイ菌などを体内に通さないようにするフィルターのような機能を果たしています。
そのフィルターのおかげで口から呼吸をしている場合と比べて鼻から呼吸するとノドに入り込むホコリやバイ菌の数が大幅に減少します。
つまり、口呼吸を鼻呼吸に変えることで空気中の病原体が体の中に入るのを防ぎ、呼吸器が原因となる感染症のリスクを大幅に減らすことができるのです。
風邪やインフルエンザなどに罹りやすいお子様は、一度呼吸を見直してみると良いかもしれません。
2.呼吸と姿勢
口呼吸をずっと行っていると、姿勢が悪くなります。
こう言われてもいまいちピンと来ないかもしれませんが、これには呼吸をする際の舌の位置が関係しています。
人が口を閉じて安静にしているとき、舌は上あごに軽く接しています。
舌が上あごに接していると、口から呼吸しようとしても舌がフタのようになってしまい、空気が肺まで通りません。
なので、口呼吸をしている人は舌が上あごから離れ、自然と下に位置するようになります。
そうすると舌がノドの方へと移動するため、ノドの空気の通り道である「気道」が狭くなります。
気道が狭くなると呼吸がしづらくなるため、気道を広げるためにあごを前に出すようになり、猫背になってしまいます。
このように、呼吸と姿勢には大きな関連があります。
子どもの場合、姿勢が悪いまま成長していくと、骨格に歪んで成長してしまったり、バランス感覚がうまく養われず、運動能力が低下してしまったりと成長発育に悪影響が出てしまいます。
口呼吸から鼻呼吸へと変えるることによって姿勢の改善が期待できるので、お口が開きがちなお子様はお口を閉じて姿勢を正す練習をすると良いでしょう。
3.お口の乾燥
鼻呼吸に比べ、口呼吸を行うと口が乾きやすくなります。
口が乾いていると虫歯や歯周病の悪化、口臭、唇のひび割れなど、様々な症状が出てしまいます。
特に、お子様のお口の乾燥で気を付けなければならないのは虫歯です。
生えて間もない大人の歯は虫歯になりやすいので、口が乾いているとすぐに変色し、虫歯が進行してしまいます。
また、子どもの歯が虫歯で抜けてしまったりすると、大人の歯が変な位置から生えてしまい、歯並びが悪化する原因にもなります。
このような点からお口の乾燥はお口の中の健康を大きく損なうリスクがあります。
鼻呼吸を行うことでお口の乾燥を防ぎましょう。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
お読みいただいた通り、呼吸と健康には密接な関係があります。
口呼吸をしていたり普段からお口がポカンと開いているお子様は少しずつでいいので、お口を閉じるクセをつけるようにしていきましょう。
当院ではお子様の検診を推奨しております。
この記事の内容以外でもお子様のお口の中で気になることがありましたら、いつでもご受診ください。